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周産期医療 〜総合周産期母子医療センター(新生児部門)〜

新生児外科疾患

新生児外科疾患は多岐にわたります。そのうち、胎児診断がつく可能性のある代表的な疾患は以下のようになります。

先天性横隔膜ヘルニア

胸部と腹部を隔てている横隔膜に先天的な欠損孔があり、腹部の臓器(胃や腸管、肝臓など)が胸部に脱出する疾患です。7割以上が出生前に胎児超音波などの検査で診断されています。脱出臓器により肺が圧排されて低形成となり、出生直後から呼吸不全となることがあります。出生後、全身状態が安定したところで脱出臓器を腹部に戻して欠損孔をふさぐ手術を行います。重症例では出生直後から重篤な呼吸不全・循環不全をおこして手術が出来ないこともあります。

腹壁形成異常(腹壁破裂、臍帯ヘルニア)

先天的に腹壁の一部が欠損し、腸管や肝臓などの臓器が腹腔内から脱出する疾患です。胎児超音波検査などで出生前診断のつきやすい疾患です。完全に臓器が体外に脱出する腹壁破裂と、袋状の膜(羊膜)につつまれて脱出する臍帯ヘルニアがあります。腹壁破裂は腸閉鎖を合併することがあり、臍帯ヘルニアは心奇形、染色体異常ほか合併奇形の頻度が高いです。どちらも出生後に、脱出した臓器を腹腔内に戻して腹壁を閉じる手術を行います。脱出臓器の容量が大きく臓器を戻すことができない場合には、脱出臓器を一時的に保護するカバーで覆う初回手術ののち、臓器のむくみがとれるのを待ってから、二回目以降の手術で根治手術を行います。

先天性嚢胞性肺疾患

肺の一部が形成異常となり、嚢胞を形成する疾患です。気管支閉鎖、先天性気道異常(CPAM)、肺分画症などがあります。胎児超音波検査で指摘され、出生時までに自然消退傾向を示すものもあれば、巨大な嚢胞により出生直後から肺を圧迫して呼吸障害を起こし、緊急手術が必要になることもあります。重症例では、心臓や大血管を圧迫して循環不全や胎児水腫をおこすことがあります。無症状の場合でも、感染を起こすことがあるので待機的な手術を行うことが多いです。手術では、嚢胞を含む肺葉の切除や、肺の部分切除などが行われます。

先天性食道閉鎖症

先天的に食道が閉鎖する疾患で、羊水を飲み込めないため羊水過多や、拡張した食道盲端などを胎児超音波検査で認め、胎児診断がつくことがあります。食道の盲端と気管が交通していることが多く、出生後早期に手術を要します。一番多いのは下部食道盲端が気管と交通しているタイプ(C型)で、上下部の食道盲端の距離が近ければ一期的に吻合する根治手術を行います。食道と気管の交通がないA型などで、食道盲端の距離が長く一期的な根治手術が難しい場合は、出生後に胃瘻を作り、食道を延長する処置・手術を行ってから、数か月後に根治手術を行うことがあります。根治手術後も、吻合部の狭窄や、先天性食道狭窄、胃食道逆流などに対して、複数回治療を要することがあります。

先天性腸閉鎖症

先天的に腸が閉鎖している疾患で、十二指腸閉鎖症、小腸閉鎖症、結腸閉鎖症があります。十二指腸閉鎖症や近位小腸閉鎖症では羊水過多や拡張した腸管を胎児超音波検査などで指摘されて、出生前診断がつくことがあります。出生後早期、もしくは数日後に閉鎖した腸管の吻合・膜切開などの手術を行います。閉鎖が多発していて、複数個所の吻合を要することがあります。十二指腸閉鎖症や近位小腸閉鎖症では、羊水中に消化液が逆流して臍帯潰瘍を作ることがあり、特に臍帯潰瘍からの出血は救命率が低い危険な合併症です。

胎便性腹膜炎

胎児期の消化管穿孔によって、胎便が腹腔内に漏れ出すことによる無菌性の腹膜炎です。胎児超音波検査で大量の腹水などを認め、出生前診断がつきやすい疾患です。消化管穿孔の原因としては、小腸閉鎖症や、消化管筋層の欠如、血流障害などが挙げられます。治療としては、まず出生直後に腹腔ドレナージを行い、数日後に人工肛門造設術を行うことが多いです。全身状態が安定したのち、穿孔部を含めた腸管の切除、吻合(人工肛門の閉鎖)を行います。

腹腔内嚢胞性疾患

腹腔内に嚢胞性の病変を有する疾患で、卵巣嚢腫、腸管重複症、腸間膜嚢胞、先天性胆道拡張症、肝嚢胞、副腎出血、嚢胞状神経芽腫、後腹膜 リンパ管腫などが挙げられます。胎児超音波検査やMRI検査などにより嚢胞を認め、出生前診断がつきやすい疾患です。
5cm以上の卵巣嚢腫は、茎捻転を起こして壊死する可能性が高いため、出生後早期に嚢腫の穿刺ドレナージや緊急手術を施行します。出生時に既に茎捻転をおこしており卵巣が壊死していることがあります。
重複腸管は消化管構造を有した嚢胞構造物、腸間膜嚢胞は腸間膜に発生する嚢胞構造物(リンパ管腫など)です。病変が小さく無症状であれば経過観察となりますが、圧迫による腸閉塞症状や腸重積、出血、感染などの症状をおこす場合は手術治療の適応となります。
先天性胆道拡張症(総胆管嚢腫)は胆管と膵管の合流異常により活性化した膵液が胆管内を逆流することが主な原因です。胎児期に診断されることもあり、胆管炎や膵炎などの症状をきたすことや、胆管がんの発がんリスクが高いことから、手術治療が必要です。

仙尾部奇形腫

臀部にできる腫瘍で脂肪、脳、消化器、毛髪、骨など様々な組織からなるのが特徴です。脊椎の最下端である尾骨部より発生し、後方に大きく張り出すものから骨盤内に発育して外観からは分からないものまであります。腫瘍の性質として良性の成熟奇形腫から悪性成分を含む未熟奇形腫、卵黄嚢癌まであり、診断が遅くなると悪性化の可能性が高くなることが知られています。体外に大きく張り出すものは出生前診断がつくことが多く、新生児期に切除術を施行します。手術では再発のリスクを減らすために尾骨部分を含めて切除する必要があります。