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腎臓・リウマチ膠原病科

若年性特発性関節炎 Juvenile Idiopathic Arthritis (JIA)

2018年10月26日 1.1版

病気について

 若年性特発性関節炎(JIA)は、16歳未満に発症し、少なくとも6週間以上持続する慢性関節炎です。原因ははっきりわかっていませんが、免疫の異常をきたしやすい体質に、ストレスや感染などの要因が加わり過剰な免疫反応が起こるといわれます。
 自分に対する抗体(自己抗体)と、外敵を攻撃する時に武器の役割となる物質(サイトカイン)が関与し、関節で炎症を引き起こします。関節で炎症がおこると、関節の周囲を覆っている「滑膜」という膜が厚くなり、次第に軟骨や骨が破壊されていきます。進行すると、関節が動かなくなることもあります(可動域制限)。
 JIAは必ずしも遺伝することはありません。JIAは以下の7つに分類されます。

@全身型、A少関節炎(4か所以下の関節)、Bリウマトイド因子陰性多関節炎(5か所以上の関節)、Cリウマトイド因子陽性多関節炎、D乾癬性関節炎、E付着部炎関連関節炎、F未分類関節炎

疫学

 わが国のJIA有病率は、小児人口10万人あたり10〜15人で、欧米とあまり差がありません。病型は人種によって差があります。

症状・診断

1.症状

 関節の腫脹、疼痛、熱感、発赤、可動域制限、こわばりがあげられます。関節炎が長期に及ぶと、関節の変形や成長障害をきたします。少関節炎では下肢の関節が侵されやすく、また「ぶどう膜炎」と呼ばれる眼の合併症をきたすことがあります。多関節炎では左右対称性にいろいろな関節に症状がみられることが多く、顎の関節にも炎症が広がり、食事が進まなくなってしまうこともあります。

2.検査所見

 血液検査では、炎症を反映する項目(白血球数、血小板数、CRP、赤血球沈降速度など)が上昇することがありますが、軽度にとどまり、少関節型では正常範囲内である例もあります。関節炎(滑膜炎)を反映する項目として「血清MMP-3値」の上昇や、関節MRIによる炎症の評価(ガドリニウム造影)、関節エコーでの血流シグナルの確認が診断に有用なことがあります。

 JIAでは、関節痛・関節炎をきたすその他の疾患を鑑別することがとても重要です。感染症、その他の自己免疫疾患、悪性腫瘍、血液疾患、整形外科疾患、精神・神経疾患などがあります。JIAは、症状から、はじめに整形外科に受診することも多い病気です。当院でも、整形外科と協力して診察を行い、必要に応じて血液・腫瘍科や、多摩総合医療センターリウマチ膠原病科とも相談しながら検査、診断、治療を行っていきます。

治療

1.ステロイド関節内注射

 少関節炎型で良い適応となります。当院では確実に関節内にステロイドが投与できるように、エコーを見ながら注射しています。小さいお子さんで不安が強いようであれば、鎮静することで眠っている間に終わらせることができます。

2.非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)

 非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)内服による治療を行います。NSAIDsで鎮痛が得られ、関節炎自体も改善する例がありますが、関節炎の鎮静化や炎症マーカーの改善には至らず、炎症が持続する例も多いです。2週間程度のNSAIDs内服でも改善が乏しい場合には、次のステップの治療が必要となります。  処方例) ナプロキセン 10〜20mg/kg/日

3.メトトレキサート(MTX)

 NSAIDsで炎症を抑制できない症例で使用します。また、ハイリスク症例(抗CCP抗体陽性例、RF陽性例、骨破壊を認める例など)では、できるだけ早期にMTX経口治療に移行することがすすめられています。小児JIAは、NSAIDsとMTXで70〜75%の患児に炎症抑制ができるといわれます。  処方例) メトトレキサート 10mg/m2/週 1週間に1回、朝1回内服

4.副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)

 MTX経口療法の効果が認められるまでには時間を要するため(開始後約4週間)、その間に日常生活に支障をきたす例では、一時的に副腎皮質ホルモン薬(ステロイド薬)を併用することがあります。ステロイド薬は、QOL(生活の質)が改善されれば、速やかに減量中止を図ります。  処方例) プレドニゾロン 0.1〜0.2mg/kg/日

5.生物学的製剤

 上記の治療に対する反応性の判断は、2〜3か月程度を目安に行います。上記治療で改善が乏しい場合には、生物学的製剤の導入が必要となります。現在、関節型JIAに使用可能な生物学的製剤は下記の3つです。

  • エタネルセプト:皮下注射、週2回投与
  • アダリムマブ:皮下注射、2週に1回投与
  • トシリズマブ:点滴静注、4週に1回投与
  • アバタセプト:点滴静注、4週に1回投与

予後

 Drug-free寛解(治癒)率は、JIA全体で、罹病期間5年では33.1%という報告があります。治癒率は病型で異なり、リウマトイド因子陽性多関節型は難治性であることが知られています。

診療実績

 現在、当院で7名のJIA患者さんの治療を行っております。
 昨年(平成29年4月1日〜平成30年3月31日)の新規JIA患者さんは3名でした。

参考文献

  • 日本小児リウマチ学会 小児リウマチ調査検討小委員会.:若年性特発性関節炎 初期診療の手引き.メディカルレビュー社,東京,2015.
  • 武井修治:若年性特発性関節炎.日臨2014; 72: 399-403.